資金調達情報 2018.8.30-2018.9.4

沖縄に旅行に行っていたため、5日間更新ができませんでしたので、その間に発表された資金調達情報についておしらせします。

件数が結構多かったので、目立ったものをここではまとめたいと思います。

 

1、メトセラがシリーズAで5.2億円調達

日本のバイオ関連企業の調達情報がようやく届きました!

山形県鶴岡を拠点とする再生医療ベンチャーメトセラがシリーズAで5.2億円を調達しました。Beyound Next Ventures, Eight Roads, F-Prime Capital Partners、日本ライフライン株式会社、Sony Innovation Fund、第一生命保険株式会社、株式会社ケイエスピーが参加しています。日本のバイオベンチャーが集めるシリーズAでは平均的な金額といったところでしょうか。

prtimes.jp

 

メトセラは、VCFというVCAM−1を過剰発現させた線維芽細胞を心不全を対象に開発しております。今回の資金を持って、移植デバイスの開発、前臨床試験の実施、Phase1試験の準備を進めたいとのことです。

社長の野上さんは、研究バックグラウンドではなく、元銀行員で、Co-founderの岩宮さんの開発した技術に目をつけて当社を起業しました。そういう意味では、非常にバランスの取れたチーム構成ですね。

5.2億円の調達において、どのくらいのバリエーションなのかが気になるところです。

 

2、 JacobioがシリーズCで$55Mを調達

中国北京を拠点とするJacobioがシリーズCで$55Mを調達しました。今回のラウンドでは、Qiming Capital と Hillhouse Capitalが参加しています。 

www.fiercebiotech.com

当社は、2015年に設立されたガン、自己免疫疾患、感染症を対象とした創薬企業で、足元では13個のパイプラインを有します。一番進んでいるのが固形ガンを標的としているJAB-3068で、現在米国でPhase1試験中です。

JAB-3068のメカニズムはわかりませんが、経口投与とのことなので恐らく低分子化合物でしょう。低分子で、固形ガン治療薬は最近少ないと思うので、ぜひ頑張って欲しいところです。

ちなみに2017年のシリーズBではLilly asia ventureが出資しています。

このファンドはLillyの子会社で、アジア、特に中国を中心に投資をしているようです。

残念ながらポートフォリオに日本はありません。日本にほこういった外資製薬会社のCVCが進出してくれれば、市場も活性化するのですが。。。。

 

3、Miracor MedicalがシリーズDで30Mユーロ調達

ベルギー、アワンを拠点とする創薬ベンチャーのMiracor Medicalが30Mユーロを調達しました。今回のリードは、中国を拠点とするMing Capital でした。

http://www.miracormedical.com/wp-content/uploads/2015/02/Miracor-Medical-closes-final-tranche-of-Series-D-bringing-the-round-to-%E2%82%AC30M.pdf

↑ Micacor社のプレスリリースです(PDF)

 

当社は、心疾患を治療するPISCO Impulse systemという医療機器を作製しています。

血流の流れを改善することで、急性心筋梗塞などを改善することができるという結果が既に臨床で得られています。

 

4、Evox Thera.がシリーズBで$45.4Mを調達

イギリス オックスフォードを拠点とするEvox Thera.がシリーズBで$45.4Mを調達しました。今回のリードは、Redmile Group で、GV (formerly Google Ventures), Cowen Healthcare Investments, Panacea Healthcare Venture, Borealis Ventures, Oxford Sciences Innovation (OSI), Oxford Universityが参加しました。

www.evoxtherapeutics.com

 

当社は、エキソソーム技術を用いたデリバリー技術を開発しており、標的の細胞に目的のタンパク質や核酸を導入することができます。

一番進んでいるパイプラインが、ニーマンピック病でPhase1を今後実施する予定です。他にも希少疾患を標的とする治療薬の開発を行っています。

タンパク質やベクターを入れることができるので、原因因子がはっきりとしている希少疾患を標的としているのでしょう。ベーリンガートの共同研究も実施しているようです。

エキソソームをツールとして使っているベンチャーは日本にはないと思うので、非常に興味はあるのですが、いかんせん創薬化が難しい。また中に入れるものが蛋白とかになるとコスト面でも課題がありますね。そういったとこをやるのがベンチャーなんですが、日本の環境ではハードルが高そうです。

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今回は以上です。